※本記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれます。
「MBTIに科学的根拠はあるの?」という疑問は、Xでも話題になっています(Xの投稿)。肯定と否定が入り混じっているのは、「根拠がある・ない」の二択では語れない話だからです。
この記事では、MBTIのどこまでが数字で裏づけられていて、どこからが根拠の弱い使い方なのかを紹介します。なお、ここで扱うのは正規のMBTIの研究データで、ネット上の無料の16タイプ診断はそもそも検証の対象外という点を先にお伝えしておきます。
先に結論:「尺度」としての一貫性はあるが、「4文字のタイプ」と「予測」には弱点がある
公開されている資料での評価は、大きく3層に分かれます。同じ人が回答したときの各指標の得点のまとまり(信頼性)は、提供元も第三者の研究もおおむね「許容できる水準」と見ています。一方で、得点を真ん中で区切って4文字に変換した「タイプ」が再受検でそろう割合は、提供元自身が約50%と認めている数字です。さらに、タイプから仕事の成績や適職を予測できるかという点は、1991年の学術評価が「正当化できる十分な研究はない」と結論づけ、提供元も採用や選考への使用を否定しています。
| 論点 | 主な数字・結論 | 出典 |
|---|---|---|
| 指標ごとの内的一貫性 | Form Mで4指標とも.90以上(3,009人の代表標本) | The Myers-Briggs Company |
| 指標ごとの再検査相関 | Form Mの全期間で.67〜.73、範囲は.57〜.81 | Form Mマニュアル補遺 |
| 4文字すべての一致率 | 約50%(偶然なら6.25%)。古い11標本では24〜61%、中央値40% | 提供元FAQ、米国学術研究会議 |
| 指標の妥当性 | 外向・内向は良好、感覚・直観と思考・感情は弱い | 米国学術研究会議 |
| 採用・選考への使用 | 提供元が「非倫理的で容認しない」と明言 | The Myers-Briggs Company |
つまり「まったく根拠のないお遊び」でもなければ、「人を16種類に正確に分類できる科学的な道具」でもありません。自己理解のきっかけとしては根拠を持って使える一方、人を選んだり決めつけたりする用途には根拠がない、というのが資料から言える範囲です。以下で、それぞれの数字がどういう意味なのかを順に見ていきます。
信頼性:数字で見るMBTIの安定度
まずは、同じ人が受けたときに結果がどれだけそろうかという「信頼性」から確認します。指標ごとの得点と、4文字のタイプ全体とでは、数字の見え方がかなり違います。
内的一貫性と再検査相関はどのくらいの値なのか
心理検査の「信頼性」には、大きく2つの見方があります。ひとつは、同じ指標を測るための質問どうしが同じ方向を向いているかを見る「内的一貫性」、もうひとつは、同じ人が時間をおいて受け直したときに得点がどれだけそろうかを見る「再検査信頼性」です。The Myers-Briggs Companyの説明によると、心理検査の尺度では内的一貫性.70以上が一般的な目安とされ、1998年に出たForm Mは全米の代表標本3,009人で、外向・内向、感覚・直観、思考・感情、判断・知覚の4指標とも.90以上でした。2001年に出たForm Qは、20のファセットの内的一貫性の中央値が.77と報告されています。
再検査のほうは、Form Mマニュアル補遺に具体的な表があります。2004年1月から2008年9月の間に2回受検した409人(初回時の平均年齢37歳)のデータで、全期間を通した相関は外向・内向.73、感覚・直観.70、思考・感情.72、判断・知覚.67でした。期間別に見ると、最も低いのは6〜12か月後の感覚・直観で.57、最も高いのは3週以内の思考・感情で.81です。同社のFAQでは、1か月の再検査で.94〜.97、4年では.57〜.81、現行のGlobal Step Iでは1〜6週と7〜15週で.81〜.86という数字も示しています。
第三者の研究も見ておきましょう。2002年のCapraroらによる信頼性一般化研究は、複数の研究をまとめた結果として「MBTIの得点はおおむね許容できる信頼性を示すが、ばらつきがある」と結論づけています。マニュアルが示す1週〜2.5年の再検査相関は、感覚・直観で.93〜.69、外向・内向で.93〜.75、判断・知覚で.89〜.64、思考・感情で.89〜.48と幅があり、最も低い.48は男性17人という小さな標本の思考・感情の値でした。論文自身も、信頼性を報告していない研究が多く、結果が出なかった研究が公表されにくい「お蔵入り問題」で平均が高めに出ている可能性に触れています。
2017年のRandallらの系統的レビューとメタ分析は、さらに慎重です。候補となった221件の研究のうち、品質基準を満たしたのは7件だけでした。再検査信頼性を統合できた3件の結果では、外向・内向、感覚・直観、判断・知覚が.75以上だったのに対し、思考・感情は.61にとどまっています。対象の多くは大学生で、検討されたのも旧版のForm FとGでした。研究の質も、最も評価の高い論文で事前に決めた基準の70%を満たす程度だったとされています。複数の資料で共通しているのは、指標ごとの得点は「ある程度安定している」が、思考・感情の指標は相対的に揺れやすい、という点です。
「同じ4文字はおよそ半分」の読み方
指標ごとの相関がそこそこ高くても、4文字のタイプ全体がそろうかどうかは別問題です。4つの指標すべてが同じ側に入って初めて同じタイプになるため、どれか1つでも境目をまたげば別のタイプになってしまうからです。米国学術研究会議が1991年にまとめた報告書『In the Mind’s Eye』は、当時のマニュアル(Myers & McCaulley, 1985)に載っていた11標本の再検査データを引き、タイプが一致した人は24〜61%、中央値で40%だったと紹介しています。4文字のうち1つだけ変わった人は27〜44%(中央値37%)で、McCarleyとCarskadonの研究では5週間の間隔で元のタイプを保ったのは47%でした。報告書は、この程度の変化があるなら、人を分類してキャリアや私生活に影響する決定をすることには注意が必要だと述べています。
心理学者のPittengerも1993年の論文で、5週間という短い間隔でも最大50%の人が別のタイプに分類されるという研究を挙げ、「生まれ持ったタイプは一生変わらない」という主張と矛盾すると批判しました。ネットでよく見る「半分の人が別のタイプになる」という話は、こうした研究がもとになっています。
これに対してThe Myers-Briggs Company側も、同じ4文字が再検査で出るのは約50%だと認めたうえで、別の見方を示しています。仮にMBTIが完全にでたらめなら、16タイプのうち同じタイプが出る確率は6.25%(16分の1)にすぎません。実際の一致率はその約8倍で、4文字すべて一致が最も多く、次が3文字一致、4文字すべて違うのが最も少ないという分布になっており、90%の人は4つのうち3つか4つの指標で同じ結果になるといいます。また、1つだけ変わる人の多くは、もともと最も差がはっきりしなかった指標が変わっているとも説明しています。
読み方のポイントは、両者の数字が矛盾していないことです。一致率が偶然よりずっと高いのは事実で、同時に、2回に1回程度は4文字のどこかが変わるのも事実です。特に、判定が境目に近い指標を持つ人ほど、受け直したときに文字が入れ替わりやすくなります。自分の結果を見るときは、4文字を固定したラベルとしてではなく、「はっきり出た指標」と「どちらとも言える指標」を分けて受け取るのが、数字に沿った使い方といえるでしょう。
妥当性:測りたいものを本当に測れているのか
結果が安定していても、測りたいものを測れていなければ意味がありません。ここでは指標ごとの妥当性の評価と、タイプに分けるという仕組みそのものへの批判を見ていきます。
4つの指標のうち、評価が分かれているのはどこか
「妥当性」は、その検査が測ると言っているものを実際に測れているかという観点です。米国学術研究会議の報告書は、マニュアルにある20の研究の相関データをもとに、外向・内向の指標は似た概念を測る他の検査と高く相関し、別の概念を測る検査とは相関が低いことから、構成概念妥当性が良好だとしています。一方で、感覚・直観と思考・感情は、同じ概念を測るはずの他の検査とも中程度の相関しかなく、妥当性は比較的弱いと評価しました。判断・知覚の指標については、11標本で感覚・直観と.23〜.48の相関があり、感覚型は判断型に、直観型は知覚型に偏りやすいという結果も紹介されています。報告書はさらに、これらの研究の多くが高校生や大学生の標本にもとづいている点を、一般化する際の注意点として挙げました。
自己評価との一致を見た研究でも差が出ています。ユング派の分析家を対象にしたBradway(1964)の研究では、本人の自己判定とMBTIの判定の一致率は、外向・内向で100%、感覚・直観で68%、思考・感情で61%、3指標すべての一致で43%でした。同じ報告書によると、ユングの理論になじみの薄い人を対象にした研究では、自己判定とMBTIの相関はさらに低かったとされています。
2021年に米国心理科学協会(APS)のポッドキャストに出演したノースウェスタン大学のDan McAdams教授は、もっと踏み込んだ意見を述べています。外向・内向は70年分の研究がある「本物の特性」だが、MBTIの4指標のうち心理学的な実在性があるのはそれだけで、思考・感情については「どこにも証拠がない」とまで語りました。Pittengerも、1,291人の大学生を対象にした因子分析で4つではなく6つの因子が見つかり、個人差の83%がMBTIで説明できなかった研究を紹介しています。
逆に、提供元は妥当性を支持する研究も挙げています。たとえば、内向型は外向型より「集中して黙々と作業する時間」が長く、外向型はオープンスペースで働く時間が長いという観察研究や、管理職4,450人の他者評価とタイプの関係を調べた研究です。4指標を一枚岩で評価するのではなく、外向・内向は比較的支持があり、感覚・直観と思考・感情は議論が続いている、と分けて理解すると、賛否の両方の主張を整理しやすくなります。
人を「タイプ」で2つに分けることへの批判
もう1つの大きな論点は、MBTIが得点の連続した差を「どちらか一方」に分ける仕組みそのものです。The Myers-Briggs Companyは、MBTIは「特性」ではなく「タイプ」の検査だと説明しています。特性理論が「誰もが持つ性質の量の違い」を測るのに対し、タイプ理論は思考と感情のように質的に異なる2つの好みのうち、どちらがより自然かを示すものだ、という立場です。同社は、両者には長所と短所があり、目的によって使い分けられるとも述べています。
これに対する批判の典型が、得点の分布の形です。Pittengerは、人が本当に外向型と内向型の2群に分かれるなら、得点は男女別の身長のように2つの山(二峰性)を描くはずだが、実際にはそうした分布は見られず、多くの人が両極端の間に位置していると指摘しました。McAdams教授も、内向・外向の得点の49パーセンタイルの人を内向型、51パーセンタイルの人を外向型と呼ぶのは、身長175cmの人を「背の低い人」、178cmの人を「背の高い人」と分けるようなものだと例えています。境目の近くにいる人ほど、わずかな回答の違いで正反対の文字が付く理由がここにあります。
この問題は、前のセクションで見た「4文字の一致率が約半分」という数字と表裏の関係です。米国学術研究会議の報告書も、人は新しい経験によって変化していくと考えるほうが自然で、MBTIのような自己評価の検査はせいぜいその時点の状態をとらえるもので、類型として扱うべきではないと述べました。提供元側は、境目に近い結果は「好みがはっきりしない」ことを示す情報であり、そのために認定ユーザーとの対話で本人が最もしっくりくるタイプを確かめる手順があると説明しています。
実際の場面に置き換えると、たとえば判断・知覚の得点がほぼ中央だった人が「自分はPだから計画が苦手」と思い込むのは、データの読み方として無理がある話です。逆に、外向・内向の得点が大きく片方に振れている人なら、その傾向は再検査でも比較的安定しやすいと考えられます。タイプ名よりも、それぞれの指標がどのくらいはっきり出たかに目を向けることが、二分法の弱点を補う現実的な方法です。
採用・配属・適職診断にMBTIを使ってよいのか
科学的根拠の話が最も現実に影響するのが、会社や学校での使われ方です。提供元の倫理規定と、職業とタイプの関係を調べたデータの両面から確認しましょう。
提供元も日本MBTI協会も「人を選ぶ道具ではない」と明言している
MBTIを採用や選考に使うことについては、批判する研究者だけでなく、提供元自身がはっきり否定しています。The Myers-Briggs Companyは2021年3月の記事で、MBTIをあらゆる採用や選考に使うことは「非倫理的であり、容認しない」と述べました。MBTIはそうした目的のために作られても改良されてもおらず、「すべてのタイプがすべての仕事をこなせる」という前提で設計されている、というのが理由です。同社の調査でも、すべてのタイプがあらゆる職種に存在しているとしています。
実務者向けの倫理原則には、より細かいルールが並んでいました。まず、受検者には目的を伝え、受検は本人の任意とします。タイプを理由に誰かを選別したり制限したりしてはいけません。結果は本人のもので、共有するかどうかは本人だけが決められる、と明記されています。結果を渡す前にはタイプ理論の説明をし、どのタイプが自分に合うかの最終判断者は本人である、という点も原則の一つです。マイヤーズ&ブリッグス財団の倫理綱領も、受検は常に任意で、結果を人のラベル付けや評価、制限に使ってはならないと定めています。
日本MBTI協会の説明も同じ方向です。協会は、MBTIは個人をタイプに分類したり、性格を測定・診断・評価したりするツールではなく、本人が自分の心を理解するための座標軸だとしています。日本では18歳以上で有効とされ、精神的な病気の面は見ない検査だという注意書きも添えられていました。さらに、受検者が結果をタイプ論以外の見方で解釈しないよう、認定ユーザーには対面でのフィードバックが「倫理規程」で義務づけられています。Web版も有資格者しか購入できず、受検者は有資格者から暗証番号を受け取り、結果も有資格者から直接渡される仕組みです。
こうしたルールに照らすと、Xにあった「会社からMBTI診断を提出しろと言われたら疑って」という呼びかけには、一定の裏付けがあります(Xの投稿)。応募者に結果を出させ、それで合否や配属を決めれば、任意性、本人の結果の所有、選別の禁止という複数の原則に反するからです。研修でチームの相互理解に使う場合でも、受けるかどうかと結果を共有するかどうかは本人に委ね、結果で役割を固定しないことが、提供元の基準に沿ったやり方になります。
「この仕事にはこのタイプが多い」というデータの落とし穴
適職診断としてのMBTIはどうでしょうか。職業ごとのタイプの割合を示したデータは多く、たとえば米国学術研究会議の報告書によると、営業職や管理職には外向型が、図書館員やコンピューター専門職には内向型が多いといった傾向が報告されてきました。ところが報告書は、こうしたデータを職業指導に使うことには3つの方法上の問題があると指摘しています。
1つ目は、タイプと職業の重なりが大きく、職業どうしをうまく区別できないことです。2つ目は、比較の基準を見落としがちなことで、報告書は小学校教員の12.4%がESFJだという数字について、米国女性の無作為標本でも同じ割合がESFJだと紹介しています。教員に多いように見えても、母集団の割合と変わらないわけです。3つ目は、タイプとその職業での成績との関係を示す証拠が示されていないことです。報告書は、これらの問題から、タイプは単なるステレオタイプの例にすぎないかもしれないと述べ、当時の時点ではキャリアカウンセリングでのMBTIの使用を正当化するだけの、よく設計された研究は十分ではないと結論づけました。
Pittengerも同じ点を突いています。看護職のタイプ分布は女性全体のタイプ分布とr=.91という高い相関を示し、男性全体とはr=.21にとどまっていました。管理職では逆に男性全体とr=.92でした。職業ごとのタイプの違いに見えるものの多くは、その職業の男女比を反映しているだけかもしれない、という指摘です。さらに、ESFPがINTJより営業成績がよいといった、タイプと職業上の成功を結びつける証拠はないとも述べています。
提供元も、MBTIは「どの仕事で最も成果を出せるか」は言えないが、どんな役割に惹かれやすいかを理解する助けにはなる、という位置づけです。適職探しに使うなら、「このタイプだからこの職業」と決めるのではなく、自分がどんな働き方に充実感を覚えるかを言葉にする材料にとどめ、実際の適性は経験や興味、能力の検査など別の情報と合わせて考えるのが安全でしょう。
ネットの無料診断と正規のMBTIは何が違うのか
ここまで紹介した数字は、すべて正規のMBTIを対象にした研究のものです。日本MBTI協会は、ネット上で手軽に受けられる「タイプ診断」について、簡単に作られた検査のなかには信頼性も妥当性も検証されていないものがあると注意しています。協会は妥当性が未検証であることを、体重を測るつもりで身長を測っているかもしれない状態にたとえ、50kgの人に170kgと出るようなことも起こりうると説明しました。そのうえで、簡単な質問に答えるとタイプが出て、有資格者であることの証明や氏名の掲載がないものは、世界規格のMBTIとは一切関係がない「似て非なるもの」だとしています。MBTIを名のる類似のものがあれば違法であり、協会への連絡を呼びかけているほどです。
正規の日本語版は2000年に導入され、協会によると、のべ3,000名を超える有資格者が誕生し、19万人以上がフィードバックを受けています。The Myers-Briggs Companyも、無料の質問紙は信頼性や妥当性の証拠を欠いていることが多いとしています。つまり「MBTIに科学的根拠はあるか」と問うとき、無料診断の結果はこの記事で紹介した研究データの外側にある、という区別がまず必要です。
結果を受け取ったら確かめたい4つのポイント
研究の数字を踏まえると、MBTIの結果は次の順番で確かめると、根拠の範囲を超えた使い方を避けやすくなります。
- どの検査を受けたのかを確認する。 有資格者を通した正規のMBTIか、ネットの無料診断かで、前提となる研究データがまったく違います。日本MBTI協会によれば、正規版は認定ユーザーからの対面フィードバックが前提です。
- 指標ごとの「はっきり度」を見る。 4文字のうち境目に近い指標は、再検査で入れ替わりやすい部分です。提供元も、変わるのは多くの場合いちばん差が小さかった指標だと説明しています。
- 説明文の「当たっている感」をうのみにしない。 Pittengerは、タイプの説明は好意的で漠然としているため、誰でも自分に当てはまると感じやすい「バーナム効果」が働くと指摘しました。McAdams教授も、16タイプがすべて肯定的に描かれ、同じタイプの仲間がいる安心感が人気の理由だと述べています。質問の数が多い検査ほど精度が高そうに感じても、質問数の多さと正確さは別物だと意識しておくと冷静に読めます。
- 他人のタイプを決めつけない。 提供元の倫理原則では、本人が最終判断者で、結果の共有も本人が決めることです。他人のタイプを推測して「あの人はTだから冷たい」と扱うのは、どの資料の立場から見ても根拠のない使い方といえます。
実際、MBTIの尺度は信頼性が数値で検証され、外向・内向のように他の検査と対応がとれている指標もあります。誕生日だけで決まる占いとは、検証の土台が違うのは確かです。ただし、その土台があるのは「指標の得点」と「自己理解の手がかり」の部分までで、「人の能力や相性を4文字で判定する」部分には及んでいません。この線引きを持っておくことが、MBTIと上手に付き合ういちばんのコツです。
まとめ:MBTIの科学的根拠を正しく理解するための5つの要点
MBTIの科学的根拠は、「ある」「ない」の二択ではなく、どの部分について問うかで答えが変わります。本文で見てきた内容を、5つの要点にまとめます。
- 4つの指標の得点は、Form Mで内的一貫性.90以上、再検査相関はおおむね.6〜.8台で、第三者の研究でも許容範囲とされる。ただし思考・感情の指標は相対的に揺れやすい
- 4文字のタイプ全体が再検査でそろうのは約50%で、偶然の約8倍。90%の人は3〜4文字が一致するが、境目に近い指標は入れ替わりやすい
- 妥当性は指標によって差があり、外向・内向は比較的支持され、感覚・直観と思考・感情は弱いとされる。得点が二峰性にならない点もタイプ分けへの批判の根拠になっている
- 採用・選考への使用は、提供元が非倫理的と明言している。受検は任意で、結果は本人のものとされ、日本では認定ユーザーの対面フィードバックが倫理規程上の義務
- ネットの無料診断は、これらの研究データの対象外。日本MBTI協会は、信頼性も妥当性も検証されていないものがあると注意している
MBTIを使うなら、4文字を自分や他人の「正体」として扱うのではなく、どの指標がはっきり出て、どこが曖昧だったのかを見ながら、自分の考え方のくせを振り返る材料にするのが、研究データに沿った使い方です。結果に違和感があれば、それ自体が自己理解を深める手がかりになります。